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バイカラー天然石とは “band series bi-color gemstone”

はじめに

最近よくお客様からご質問いただく”バイカラー”の天然石をご存知でしょうか?
昨今では色が均一でクオリティが高いとされる”宝石”だけでなく、色や柄に個性がある唯一無二の天然石を日常のファッションに取り入れて楽しむ方が増えています。 単色宝石以上の華やかさや特別感を感じることができるのが、バイカラー宝石の魅力だと思います。
そんな、janukaの商品の中でも人気のあるバイカラーの天然石について説明をしていきたいと思います。
少し専門的な話題になりますが、お付き合いください

バイカラー天然石とは

その名の通り、二色以上の色が出現している天然石を指します。
バイカラーのスペルは “bi-color”となりますが、“バイbi-”はラテン語で“二つの”という意味です。
カラーは色という意味なので、2つの色を内包しているものを指します。

サファイアやタンザナイト、トルマリンなど様々な天然石にみられる現象です。
我々janukaでは色のバリエーションが多い「トルマリン」をセレクトすることが多く、「バイカラートルマリン」などと呼ばれます。
色の境目は、比較的はっきり分かれているものもあれば、グラデーションになっているものなど個性豊かな表情がみられます。
ピンクとグリーンのトルマリン(上の写真右)のように色の変化がはっきりわかるほど色の違いが現れている石も少なくありません。

ちなみに、3色あれば「トリカラー(tricolor)」
複数色のあるものはまとめて「パーティ・カラー(party color)」と呼ばれています。

バイカラーが誕生する理由

バイカラーができる要因はさまざまです。
特殊な状況で偶然にできる産物であることが多く、石によってはどのようにしてバイカラー宝石ができるのかは詳細がわからないものもあります。
諸説あるとは思いますが、鉱物の専門ではないのでご容赦いただけますと幸いです。
代表的な2つの石を例に簡単に説明していきます。

//トルマリン//

トルマリンはカラーバリエーションが豊富で、幅広い色相をもっていることでも有名です。黒、緑、青、黄、赤、ピンク、紫など(大抵)の色が揃っています。
その色の違いは様々な金属元素の違いによるものだそうです。
鉄やチタンが入っていれば、黒、青、緑色に。
マンガンが入っていれば赤、ピンク、黄色。クロムは緑色です。

バイカラーになる理由としてはその石に含まれる元素と、宝石が生成するときのタイミングによって起こると言われています。
トルマリンがバイカラーになる理由も同じく、色を発生させる鉄やクロム、バナジウムや銅などの元素が、時間差でトルマリンの中に取り込まれていく際に色が変わるそうです。

//アメトリン//

アメトリンもトルマリンと並びjanukaでは人気の天然石です。
アメトリンのバイカラーになる理由はトルマリンのとは大きく異なります。
トルマリンは色が2色でも一つのトルマリンという鉱物ですが、アメトリンはカラーだけでなく2つの鉱物を併せ持った、マルチな魅力あふれる天然石です。
アメトリンはアメジストとシトリンという2種類の石から構成されています。
実は、アメジストは長時間熱が加わると色が変化しシトリンとなります。
マグマなどの天然の熱や放射線によりアメジストがシトリンに変わる過程で色の変化が起こり、変化が途中で止まったことで2つの宝石がひとつになり、アメトリンとなるそうです。

ちなみに、アメジストもシトリンもクォーツ(※)の変種で鉱物名はクォーツです。
そのため、広く言えばアメトリンもバイカラークォーツのうちの一つとなります。

(※)クォーツとは日本名で”水晶”と呼ばれている天然石です。

人気のバイカラー天然石

一番人気は特定できないですが、janukaで人気のあるバイカラーは(何度も登場していますが)トルマリンです。
特にアイクリーンと呼ばれ中に傷が少ないものほど美しく人気が高いため、仕立てが完了したらすぐに売れてしまいます。
色はピンクとグリーンのまさにスイカのような色のウォーターメロントルマリンと呼ばれる組み合わせが代表的であり、人気も高いです。

トルマリンは細長い結晶形状のため長い長方形や棒状にカットされることが多いです。
そのシェイプとjanukaのゴールドの直線を使ったデザインと合わせたときに石の持つ魅力が引き立つように思います。。
そのためjanukaでは意識的に長方形のトルマリンをセレクトすることが多いのです。実際「四角い形ありますか?」というお声も多く、総合的に見るとピンクとグリーンのウォーターメロントルマリンの長方形が大変人気のある石だと言えます。
ただ、色の濃淡、石の向きやアイテムによって雰囲気は大きく変わるため、”一番人気”は特定できず、その時の出会いとお好み次第です。そういった偶発的な重なりが多くなかなかコントロールできないところがバイカラーの魅力であり、面白さだと考えています。

januka流バイカラーの使い方

janukaでバイカラーの天然石を使った商品の代表は”BAND”シリーズです。
このシリーズは8年ほど前から製作していますが、最近人気が高く、janukaを代表する商品です。

BANDシリーズとは、上の写真で見ていただくとお分かりの通り、石を留めるための爪や枠がなく、ゴールドのバンドでアームに石を固定しています。
そのため、そのままの名前ですが「BAND」シリーズと名付けられています。
よく「石が落ちないのか」とご質問をいただきますが、石に溝を彫りゴールドの線が食い込む構造になっているので落ちることはありません。
この石の留め方は石の周りを隠さずに横から眺めることができる構造のため、石の色の移り変わる部分を360度しっかり見ることができます。
石そのものが持つ強い個性を引き立てつつも、シンプルな構造であることにより強烈な個性を生み出すjanuka独自の唯一無二のジュエリーです。

januka流バイカラーの使い方

全て1点ものであるため現在販売していないものも多数ありますが、今まで製作してきたバイカラーの天然石を使用したジュエリーをご紹介します。

//BAND NECKLACE TOURMALINE//

細長いシェイプの石とゴールドのBANDを直線に合わせたとき、石の持つかっこよさが引き立ちます

//BAND RING TOURMALINE//

グリーンの濃淡が美しいトルマリン。 角がたった四角いシェイプが大人っぽいクールな印象に。

//BAND NECKLACE SAPPHIRE//

ブルーの濃淡がしっかりと分かれたバイカラーサファイア。 透明感が美しくシックなネックレスです

//BAND NECKLACE TOURMALINE//

変形の四角を斜めにセッティングすることで面白さが際立ちます。

さいごに

janukaでは今までデザインや技法に重きを置き、様々な種類の天然石を使ってジュエリーを作ってきました。
一つの素材を打ち出してお披露目をすることはなかったのですが、2021年11月に開催した伊勢丹新宿店での1週間限定ショップでは初めて“バイカラー”の天然石をフォーカスしました。バイカラーのビジュアルを前面に打ち出した告知やインスタグラムの投稿を見てくださった方々が、バイカラー指名でお越しくださり、とても大きな反響となりました。

バイカラーの天然石は同じ原石から似たカットのものをまとめて仕入れることが難しく、時の運によるというところがあり製作する苦労はあります。
また、janukaの天然石を使用したジュエリーは1点もののため、人気が集中してしまう石があるとすぐに完売してしまいます。全てのお客様にご希望のものをお届けできないこともあり、申し訳ない気持ちになることも。
しかし、そのような偶発的な出会いこそがバイカラーなど個性がある石の魅力と面白さだと思います。

石との出会いは予測できませんが、janukaのデザイナーが2021年に山梨に移住したことにより、石の仕入れがしやすくなり、より多くの石と出会えるチャンスが増えました。今後の石のセレクトにご期待ください。